爺さんの大いなる遺産
正直いって、もっと違う映画を想像していた。
私は見てはいないんだが、イメージ的には『月はどっちに出ている?』
見たいなイメージが近いか?
でも、これは1時間足らずぐらいの、立派なドキュメントです。
おはなし
在日韓国人の3世の哲明青年は
中学の時に可愛がってくれたじいさんが他界。
彼の最後の言葉が『哲明のバカヤロー』
それが、彼の心の中で、ぐぐぐと大きくなってきて
彼は、おじいさん&自分のルーツを探りはじめる
っていうドキュメント。
あんにょんキムチ
彼(哲明氏)はキムチが家族の中で唯一食べられない。
食べても吐き出すような感じ。
あんなおいしものを…
が、このキムチが
彼らのルーツの韓国とオーバーラップするようで…
韓国っていうものの捉え方が、家族でもそれぞれ違う。
純粋に自分は韓国人だと思うものあれば
在日韓国人っていうことを受け入れている者もあれば
だいたい日本人と自分を思うものもある。
あやの場合、
昔っからの友達に韓国人のハーフも居るし
遊んでいた子供の中には北朝鮮出身の子もいたし
あやは髪の毛茶っ茶で『外人』っていうあだ名があったし
モルモン教の人に声をかけて、お友達になったりもしたし
結婚しているとか、独身とか、子供がいるとか、別れたとか
どんな職業についているとか、いろんなあんなこんなも
そんないろんなこんなも
同じ服の色違いを着ているような感覚しか持てないのだ。
他の人にはね。
人が違えば、国が違うと思った方が良い。
そうやって考えたら、この話しは進まない。
んでも、あやの場合、みにくいアヒルの子状態の過去があり
平均的じゃないことの難しさはなんとなくわかるし
今でも、平均的だったら楽で良いのにっておもう時もある。
が、そんな自分を許せるようになり、
それを楽しむ事ができるための過渡期を映画にしたら
こんな感じかな?って思う。
この映画は、お涙ちょうだいでもないし
どっちかっていうと、からってしているようにも感じる。
でも、それはこの作品が素直に作っているから、
こっちも素直に受けとめられるのかも。
無理な力が入ってない、妹のナレーションも良い。
さて、最初に、この映画は、
見る前に期待していたものとは違ったって書いたけれど…
パンフレット(300円)を見て、ドキュメントとわかった。
私は映画は1000円で見る人なので、
1500円で1時間は正直いって、高価な映画である。
なんていう言葉だったのかは、覚えてないけれど
でも、始まって間もないころに
ものすごくドキっていうか、ピン!っていうか
そういう瞬間があって、
こんな感覚をドキュメント作品に感じたことがないっていう思いを受けた。
見にきてよかったと、その瞬間思って
見てよかったと、帰る時に思った。
この映画は、爺さんの大いなる遺産である。