【評価金額】
befor1300円 after1250円
恋愛小説家のような作品を期待して見てきました。
仕事人間がリタイアしてから、自分の人生を見つめなおすっていう話だそうです。
そうですっていうのは、私が思うには、見つめなおすまでいってないと思ったので。
なんちゅーか、映画の大部分が、熟年離婚されそうなおとっつぁんの
そうたる所以で、終わっていったような感じで、だからどうなったって所までは
やってないと思うのでございます。
実際、人間って云うのは、そんなに簡単に変われるわけでもないし、
それこそ、現実の人生だとしたら、それを本人が感じられるってことは、
とってもすごいことだと思うのですが。
なんか自分ちの父親を見ている感じで、この年代の奥さんがみてると、
あるあるあるある〜って感じで、もうちょっと何かを感じたのかもしれませんが、
この、私の鈍りまくった感性では、何も感じずに帰ってまいりました。
っていうか、恋愛小説家を見て期待したJ・ニコルソンはそこに存在してて、
確かに何かあるのだろうとは思うのですが、
それを、今度はつかめずに帰ってきたって感じです。
きっと、恋愛小説家を見て『わかんない!おもしろくない!』といっただんなちゃんは、
これを見たらさらに『だから困った爺さんのなんなの!』といいそうですが、
私には、恋愛小説家を見たときの彼のように『困った爺さん』どまりなのかもしれません。
んで、そんなとき、Cinema Paradisoのすずめちゃんの感想を見ました。
彼女の感想は、まるでパズルの抜けてた残りのピースのような物だったかもしれません。
多くのシュミットと近い年齢の奥様があるあるある〜と思いながら妻の目で見てたとしたら、
たぶん、私は、彼の娘だったのでしょう。
シュミットも、あんなに困ったちゃんになるまでに、
彼には彼なりの努力もしただろうし、苦労もしたんだと思います。
家族への愛情も、ちゃんと十分与えてると思ってたんだと思います。
彼は、彼が想像しうる世界での最善を尽くしたんだと思います。
家族も、そのことをちゃんと本当にわかってたんだと思います。
でも、彼が望んでいた形をしてなかった。
彼がこうなるはずと思っていたのと違ってた、ただそれだけのことです。
いくらそれをちゃんと理解して、ちゃんと受け止めていたとしても、
自分が自分の思い通りに行きたいように、他の人も同じように望んでいて、
彼の希望とは別に、人にはそれぞれ自分自身を生きてかなきゃいけないし、
浮気だろうが彼の妻や、彼の娘はそれを実行していただけで、
この映画では、ただ1人、彼だけがそのことを理解してなかったのでしょう。
何が彼に欠けていたんだろうとか、子供の頃の大人の彼への接し方が云々いうのは
10代までの人間にだけ言えばいいことで、68年も生きてきた人に言えるとしたら、
どうぞ、本当の意味で、自由になって、自分の人生を楽しんでくださいと思います。
そんなおとっつあんを演じるジャック・ニコルソンは、
やはりすごいと思ったオール アバウト マイ ファーザーでした。