FAXで、間取りが送られてきた物件。
『この家だったんだぁ』
昨日、ここの前を通ったときに、ピンと来た家がこの家だったら良いのにと思った。
持ち主はアメリカ人。昭和58年築なのに斬新な間取りの家。開放感も抜群。
収納、バーカウンターつきのキッチン、トランクルーム、理想以上。
街の中心から歩いて7分。
欠点は2つ、南側が隣の家でふさがり、崖のような急な坂の途中にあること。駐車場がないこと。
でも、多少手を加えた方が良いか?
この家の開放感と図書館に近いのを、だんなちゃんは気に入ったよう。
『後はリフォームとかの値段かぁ』
だんなちゃんは『リフォームってって?』言っている。
とりあえず、もう1件物件もあるし、義理物件もある。リフォームの説明もした方が良い。
細かい話も聞けなかったので、考えることにした。
もう1件の物件も手堅い物件である。
ただしそこはすでに名乗りをあげている人がいるというのでキャンセル待ちに入れてもらう。
義理物件を見に行った。最悪だった。なんせクローゼットの下半分は
階段の天井だし。めちゃくちゃな間取り、日が当たらない家。崖の下。
『新築です』っていうけど、1年以上前に建っている。地面にはコケ。
向かいの家の角が突き刺さるように建っている。しかも丸見え。最悪の家だ。
『もう、お宅は結構です』
翌日、他の物件の見学をいつにするかと返事をすることになっていた時にその不動産屋にはそう告げた。
アメリカ人の家は、不動産屋さんが買い手がついてしまったと行って来た。
ふりだしに戻った。
『アパートの換気は他の住人に頼んで行けば?』と大家さんが言った。
最初は『換気だったら私がするから』と引き止めた大家さん。
しかし、大家さんはこの春から、引越しをしてアパートから離れたところに住んでいるのだが
最初は、週1回ぐらいでそれまで住んでいたアパートの横に建っている家にも来ていたのだが
その家は他の人に貸すことになり、自分は来なくなるだろうから、他の住人に換気を頼んでくれという。
そんなんできるかい!ってなわけで、荷物を置く場所を決めないといけなくなった。
平日も賃貸を探しに、仕事がえりのだんなちゃんと待ち合わせて不動産屋さん巡り。
『すごい魅力的な家があるの。平屋でね』
賃貸の部屋を見に行く途中で、不動産屋さんがそう言う。
賃貸の部屋は最初希望していた場所とは違うところにあるが
その近くに、その家はあるらしい。確かに話では魅力的な家である。
『良かったら見に行く?』