「ってね、前に美咲とあっちゃんと3人で飲んだ時にあっちゃんがひっかかったんだよ」
と幼馴染の結婚パーティーで喋っていた。
「それを聞いたダーリンが、『バカだな』って言ったくせに、
自分も日っかっかってやがんの」
と私が言うとみんな笑っていた。
ひとりを除いて。
そして、そのひとりは言った。
「あやっておじいちゃんがフランス人だったのか?」
それを聞いた双子の片割れはすかさず「知らんかった?」と言う。
彼は「そうかぁ。すげぇなぁ!あや、すげぇなぁ」と言う。
私は笑えてきた。
でも、なんとかそれは本当じゃないという事を伝えようと
「あやが嘘つくとわからないよね。」
「あやって嘘つく時も笑わないもんね」と言っているのだが、
私はおかしくて笑っているので「笑っとるが」と彼は言う。
とにかく彼は自分から騙されに来たなんていうことは
これっぽっちも思っていなくって、感動しまくっていた。
そこにユーミンの曲のフランス語バージョンが流れると双子の片割れのだんなが
「あやちゃん、フランス語の曲が流れとるよ」と笑いながら言う。
彼は「なぁ、あや、フランス語喋れる?」って言って来るので
「フランス語は最後にボンとかヴィヤンがつくんだよ。例えばそうだボンとか」
って、ただ日本語にボンをつけただけの丸わかりなことを言って、
みんな笑っているのに彼だけは「スゴイなぁ」と言っている。
仕方がないので、もう一度最初から説明する事にした。
「でね、あっちゃんがひっかかったんだわ」
彼は「ふん、中村バカだなぁ」と言った。
「それをダーリンに言ったら『馬鹿だなぁ』って言ったくせに自分も引っかかってるんだよ」
と聞いて笑いかけたが、彼は、そこでふと考えたのか、
「ってことは、あやはフランス人じゃないのか?」と言ってきた。
「うん」とみんなが答える。
「ってことはそれは嘘なのか?」と聞いてくるので
「ずっとそうだよと言ってたじゃん」とみんなが答える。
「ってことは、俺は騙されていたってことか?」というので、みんなうなずく。
「なんだぁ!!!」
めでたし・めでたし